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医療事務・秘書コース 2020.01.30

【授業紹介】医療マネジメント論 (第1回)

 1月20日から『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』という医療ドラマがスタートしました。ドクターX、コードブルー、グッド・ドクターなど、これまでも病院を舞台としたドラマがたくさん放送されてきましたが、今回の医療ドラマは経営難に陥った病院をいかに再生させるかという「病院経営」に焦点をあてたドラマです。経営に関する専門用語がたくさん出てくるので、少し難しい内容かもしれませんが、小泉孝太郎初主演の面白い作品ですので興味のある方は是非視聴してみてください。


 さて、医療事務・秘書コースにおいても「病院経営」の基礎を学ぶための「医療マネジメント論」という専門科目を開講しています。この授業でどのようなことを学ぶのか、授業内容について何回かに分けて紹介させていただきます。

1.経営理念やビジョンについて

 経営を行う上で重要なこととして、病院の経営理念やビジョンを明確にすることがあげられます。各病院においては、何のために存在し、どのような姿を目指すのか、将来の方向性を明らかにする必要性があります。また、それらを病院組織内部に浸透させるとともに、患者や社会全体に対しても発信する必要があります。経営理念は組織の根幹となるものですので、その重要性を理解する必要があります。

 上述した医療ドラマ『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』は長野県にある相澤病院の実話がベースになっているようです。下記では相澤病院のビジョンを紹介したいと思います。

 <相澤病院のビジョン>

●ERから救急入院まで、患者病態に応じた迅速で的確な救急医療を実践して、相澤病院の救急医療を確立、発展させる

●急性期中核病院として期待される医療と相澤病院の強みとする医療を充実・強化して、中核病院としての役割を果たす

●相澤病院の職員としての使命感・倫理観を持って、職能を磨き、患者さんの視点に立って、適正で安全な医療を提供する

●職種間のコミュニケーションを良好にして、多職種協働による効果的なチーム医療を推進する

●入院早期からリハビリと退院支援を行うことにより、退院後の患者・家族のQOLを高め、退院を促進する

●課題を明確にした上で、目標を定め、PDCAサイクルにより、医療の質・病院の質・経営の質を継続的に向上させる

●適正なコストで収入を確保する筋肉質な組織を創り、国が進める医療改革に対応する

引用:相澤病院ホームページ http://www.ai-hosp.or.jp/intro/intro02.html

アクセス日 2020年1月30日


2.お金の管理について

 お金の管理も重要なテーマです。自治体病院の約88%が赤字、医療法人等の私的病院でも約37%が赤字となっています。赤字が継続すると、医療機器や医療資材などの費用、医師や看護師等の人件費を捻出することができず、事業を継続することが困難となります。病院が倒産すれば、患者や地域社会に大きな影響を与えることとなります。質の高いサービスを継続的に提供するためには、支出をカバーし得る収入を継続的に確保し、健全な経済的基盤を構築することが重要となります。

 では、収入を増やすためにはどのようなことが必要でしょうか?病院によっても異なりますが、一般病院の場合、医業収益に占める入院収入の割合は約7割といわれており、入院収入を安定的に確保することが求められます。つまり、病床稼働率(病床がどの程度、効率的に稼動しているかを示す指標)を高く維持することが重要であり、赤字にならないためには、一般病院では87%程度の病床稼働率が必要であるといわれています。

 入院患者は、①外来経由、②救急経由、③紹介経由の3つの入院ルートで来院されます。外来経由の患者を増やすためには、外来患者を増やすことが重要となります。そのためには地域の方々に病院の存在を知ってもらい、また、患者から選ばれる病院になることが必要です。救急経由の患者を増やすためには、救急患者の受入体制を強化し、救急患者の受入れ率を高める必要があります。紹介経由の患者さんを増やすためには、地域のかかりつけ医との病診連携、他の病院との病病連携が重要となります。診療所や他の病院に自病院が得意とする分野や医療機能を知ってもらえるように、広報活動に力を入れることも重要かと思います。

 一方で、黒字にするためには支出を減らす取り組みも必要です。例えば、医療機器や医療材料の調達コストの削減や光熱費・消耗品・備品に係る経費の削減などがあります。支出のうち、大きな割合を占めるのは人件費ですが、人件費の行き過ぎた削減は定着率の低下やモチベーションの低下につながるため、慎重に行う必要があります。納得性のある人事評価制度を構築し、総人件費を管理していくことも重要かと思います。


 今回のブログでは、病院経営の中でも「経営理念」や「お金」に関することを取り上げましたが、医療は人の生命や身体に直接関わるサービスであるため、安全性の確保やサービスの質の向上を図ることも重要な経営課題の一つです。また、サービスの質を高めるためには、その前提として病院で働く職員の労働環境の改善やワークライフバランスの推進など、職員の満足度を高める取り組みも重要となります。次回のブログでは、医療安全や人事労務管理について説明していきたいと思います。


使用テキスト:三田寺裕治『医療福祉経営入門』みらい 2019年

医療福祉経営入門表紙画像.jpg

https://www.mirai-inc.jp/books/detail.php?9784860154776


参考文献

小松大介『病院経営の教科書』日本医事新報社 2015年

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