医療事務・秘書コース
1月20日から『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』という医療ドラマがスタートしました。ドクターX、コードブルー、グッド・ドクターなど、これまでも病院を舞台としたドラマがたくさん放送されてきましたが、今回の医療ドラマは経営難に陥った病院をいかに再生させるかという「病院経営」に焦点をあてたドラマです。経営に関する専門用語がたくさん出てくるので、少し難しい内容かもしれませんが、小泉孝太郎初主演の面白い作品ですので興味のある方は是非視聴してみてください。
さて、医療事務・秘書コースにおいても「病院経営」の基礎を学ぶための「医療マネジメント論」という専門科目を開講しています。この授業でどのようなことを学ぶのか、授業内容について何回かに分けて紹介させていただきます。
1.経営理念やビジョンについて
経営を行う上で重要なこととして、病院の経営理念やビジョンを明確にすることがあげられます。各病院においては、何のために存在し、どのような姿を目指すのか、将来の方向性を明らかにする必要性があります。また、それらを病院組織内部に浸透させるとともに、患者や社会全体に対しても発信する必要があります。経営理念は組織の根幹となるものですので、その重要性を理解する必要があります。
上述した医療ドラマ『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』は長野県にある相澤病院の実話がベースになっているようです。下記では相澤病院のビジョンを紹介したいと思います。
<相澤病院のビジョン>
●ERから救急入院まで、患者病態に応じた迅速で的確な救急医療を実践して、相澤病院の救急医療を確立、発展させる
●急性期中核病院として期待される医療と相澤病院の強みとする医療を充実・強化して、中核病院としての役割を果たす
●相澤病院の職員としての使命感・倫理観を持って、職能を磨き、患者さんの視点に立って、適正で安全な医療を提供する
●職種間のコミュニケーションを良好にして、多職種協働による効果的なチーム医療を推進する
●入院早期からリハビリと退院支援を行うことにより、退院後の患者・家族のQOLを高め、退院を促進する
●課題を明確にした上で、目標を定め、PDCAサイクルにより、医療の質・病院の質・経営の質を継続的に向上させる
●適正なコストで収入を確保する筋肉質な組織を創り、国が進める医療改革に対応する
引用:相澤病院ホームページ http://www.ai-hosp.or.jp/intro/intro02.html
アクセス日 2020年1月30日
2.お金の管理について
お金の管理も重要なテーマです。自治体病院の約88%が赤字、医療法人等の私的病院でも約37%が赤字となっています。赤字が継続すると、医療機器や医療資材などの費用、医師や看護師等の人件費を捻出することができず、事業を継続することが困難となります。病院が倒産すれば、患者や地域社会に大きな影響を与えることとなります。質の高いサービスを継続的に提供するためには、支出をカバーし得る収入を継続的に確保し、健全な経済的基盤を構築することが重要となります。
では、収入を増やすためにはどのようなことが必要でしょうか?病院によっても異なりますが、一般病院の場合、医業収益に占める入院収入の割合は約7割といわれており、入院収入を安定的に確保することが求められます。つまり、病床稼働率(病床がどの程度、効率的に稼動しているかを示す指標)を高く維持することが重要であり、赤字にならないためには、一般病院では87%程度の病床稼働率が必要であるといわれています。
入院患者は、①外来経由、②救急経由、③紹介経由の3つの入院ルートで来院されます。外来経由の患者を増やすためには、外来患者を増やすことが重要となります。そのためには地域の方々に病院の存在を知ってもらい、また、患者から選ばれる病院になることが必要です。救急経由の患者を増やすためには、救急患者の受入体制を強化し、救急患者の受入れ率を高める必要があります。紹介経由の患者さんを増やすためには、地域のかかりつけ医との病診連携、他の病院との病病連携が重要となります。診療所や他の病院に自病院が得意とする分野や医療機能を知ってもらえるように、広報活動に力を入れることも重要かと思います。
一方で、黒字にするためには支出を減らす取り組みも必要です。例えば、医療機器や医療材料の調達コストの削減や光熱費・消耗品・備品に係る経費の削減などがあります。支出のうち、大きな割合を占めるのは人件費ですが、人件費の行き過ぎた削減は定着率の低下やモチベーションの低下につながるため、慎重に行う必要があります。納得性のある人事評価制度を構築し、総人件費を管理していくことも重要かと思います。
今回のブログでは、病院経営の中でも「経営理念」や「お金」に関することを取り上げましたが、医療は人の生命や身体に直接関わるサービスであるため、安全性の確保やサービスの質の向上を図ることも重要な経営課題の一つです。また、サービスの質を高めるためには、その前提として病院で働く職員の労働環境の改善やワークライフバランスの推進など、職員の満足度を高める取り組みも重要となります。次回のブログでは、医療安全や人事労務管理について説明していきたいと思います。
使用テキスト:三田寺裕治『医療福祉経営入門』みらい 2019年
https://www.mirai-inc.jp/books/detail.php?9784860154776
小松大介『病院経営の教科書』日本医事新報社 2015年
1年生は2年生に、2年生はいよいよ卒業を残すのみとなりました。2年生全員が就職内定をいただけ、成人式も終わり、後期試験もやりきりました。水野ゼミの活動目標は「コミュニケーション力を高める」を軸に、1、2年合同で様々な行事で活動してきました。最初は遠慮していた1年生も2年生のリードのおかげで、すっかり馴染んでいました。
最後に、2年生から1年生へ「内定報告会」のプレゼントがあり、先輩方からのエールをたくさんもらいました。実習、就職活動がすぐ始まる1年生にとって、有難い大きなプレゼントでした。
そして、今回ラストゼミでは、1年生全員が協力し、先輩をもてなし、卒業祝いをすると企画、進行をしてくれました。プレゼントのサプライズもあり、赤い薔薇とゼミのメッセージカード入りのミニアルバムを1年生がそれぞれお世話になった先輩に渡すと、2年生は本当に喜んでくれました。
卒業式を以って、Uターン就職をする学生もいるため、本当にバラバラになってしまいますが、2年間一緒に頑張ってきた仲間との絆は変わりません。
温かい雰囲気でラストゼミを終えることができて、ちょっと2年生ロス気味ですが、また次に入学してくる1年生、そして2年生のために、また一緒に走る準備をしていきます。素晴らしい時間を過ごせて、とても感謝しています。
1年生は2月中旬から病院実習がスタートしますが、実習が始まる前に「医療施設実習指導」という授業を履修し、実習の意義や目的、実習生として求められる基本的態度、守秘義務の重要性、実習記録の書き方などを学習します。
本日は、医療機関の実習担当の方に来校いただき、実りある実習にするためにはどうしたら良いのか、実習に向けての心構えや実習上の注意点についてご講演いただきました。
実習は自分の将来を考えるきっかけにもなりますし、積極的に取り組むことで大きく成長することもできます。成長するためには、実習に積極的に取り組み、学ぼうとする姿勢をもつことが重要であるとのお話をいただきました。
また、病院はモノを作る場所ではないので、患者さん一人ひとりに合った個別的対応が必要であること、迅速に業務を行うことも必要であるが、正確性や安全性を最優先に行うことが重要であるとのお話がありました。
接遇の面では、身だしなみや笑顔、挨拶、声の大きさやトーンに留意することが重要であり、業務においては効率性も考え常に改善しながら業務に取り組んでほしいとのことでした。
あと1か月程度で実習が開始となりますが、実習に行く目的や実習生としての注意事項を改めて確認し、健康管理にも十分気をつけて実習に臨んでもらいたいと考えています。
2019年12月7日(土)に実習報告会を行いました。
発表では、まず、病院の基本理念・基本方針や診療科目、主な医療設備、電子カルテなどIT化の状況、病院機能評価の受審状況、1日平均患者数、平均在院日数、紹介・逆紹介率、診療実績などの臨床評価指標について説明してもらいました。
その後、実習内容や実習スケジュールについて説明してもらいました。実習内容としては次のような報告がありました。
総合受付業務、再来受付機の補助、新患登録、問診票の確認・返却、外来受付補助、保険番号の点検、会計作業の補助、紙カルテ出し、カルテ運搬・回収、スキャン業務、入退院患者の書類確認、会計窓口、レセプト点検、高額レセプト点検、電話対応、救急外来受付業務、RI検査受付業務、カテーテル手術の器材確認、病棟外来ステーションのクラーク業務、リハビリのクラーク業務、情報管理課業務、医師事務作業補助の業務見学、手術室見学、総務・経理・人事課業務、健診センター業務、画像検査センター業務、医療連携室業務、診療情報管理室業務(DPC登録)、ベッドコントロールセンター業務、予約センター業務、救命救急講座への参加など。
また、実習を振り返って良くできたことや反省点・今後の課題についてお話してもらいました。次のようなことが報告されました。
患者様から感謝の言葉をいただき、とてもうれしかったです。医療事務の仕事のやりがいを感じました。
学校でDPCについて学んでいたため実習を行いやすかった。
医療用語・医療知識や公費制度、自賠責、労災、略語などの知識が不足していた。
積極的に動けず、指示待ちになってしまった。
DPC病院が増えているため、DPCについて理解を深める必要がある。
ICDコーディングについてさらに理解する必要がある。
ミスを無くすためにダブルチェックを徹底する必要がある。
一人一人の患者様に寄り添った傾聴力が重要。また、緊急性の高いケースでは臨機応変に対応する必要がある。
報告、連絡、相談を徹底する必要がある。
患者様の年齢や心身の状況に応じて、話すスピードや声の大きさ、目線の高さなどを配慮する必要がある。
外国人患者受入れ拠点病院では、外国人の患者様が多く来院されるので、英語力を高める必要があると思った。
個人情報保護、守秘義務、プライバシー配慮の重要性を改めて認識する必要がある。
患者様から診察室や受付の場所を聞かれる場合があるため、院内マップを把握しておく必要がある。
急ぐ業務でもミスがないように確実に業務を行う必要がある。
本年度は下記の病院で実習をさせていただきました。お忙しい中ご指導いただき、誠にありがとうございました。
(順不同)
東京大学医学部附属病院
日本赤十字社 さいたま赤十字病院
順天堂大学医学部附属練馬病院
日本医科大学千葉北総病院
埼玉県済生会川口総合病院
医療法人社団東光会 西東京中央総合病院
医療法人社団明芳会 江田記念病院
公益社団法人 地域医療振興協会 伊豆今井浜病院
社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院 さやま総合クリニック
順天堂大学医学部附属順天堂医院
都留市立病院
医療法人社団愛友会 津田沼中央総合病院
医療法人社団協友会 メディカルトピア草加病院
医療法人社団誠馨会 新東京病院
医療法人社団天宣会 北柏リハビリ総合病院
医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院
医療法人社団明芳会 高島平中央総合病院
医療法人社団明芳会 イムス東京葛飾総合病院
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院
社会医療法人社団木下会 千葉西総合病院
社会福祉法人 勝楽堂病院
東海大学医学部付属病院
東京勤労者医療会 東葛病院
医療法人 熊谷総合病院
医療法人恵愛会 恵愛病院
医療法人顕正会 蓮田病院
医療法人財団明理会 イムス富士見総合病院
医療法人三誠会 川口誠和病院
医療法人社団東光会 戸田中央総合病院
医療法人社団武蔵野会 TMGあさか医療センター
医療法人社団武蔵野会 新座志木中央総合病院
埼玉医科大学病院
社会医療法人壮幸会 行田総合病院
8月5日から始まった病院ボランティアの続編です。
本日は、 活動の様子を皆さんに見ていただきたく、陣中見舞いに行って来ました。
笑顔で患者様に対応している姿はとても清々しく、困っている方には率先してお声がけをし、会話をしながらご案内していました。調剤薬局の場所を聞かれたり、検査室の場所を聞かれたり、といろいろな質問にも笑顔で丁寧に答えていました。
学生たちは、患者様からの「ありがとう」という言葉に、たくさん勇気と元気とそしてやりがいを感じながら、頑張っています。
残すところあと2週間。しっかりやり切り、後期につなげていきましょう!